3.慢性・反復性経過(しばしば新旧の皮疹が混在する) 正常肌とアトピー肌の違いはバリア機能。 アトピー肌は皮膚膜を作る力が不足し、加えて皮膚内の水分保持機能が低いことから皮膚表面の外壁が弱く、バリア機能の障害があります。実際に皮膚表面の脂肪量を測ると正常の人の60%とかなり少ないことが分かっています。 そのため異物(ほこり・ダニ・細菌)や刺激(紫外線・静電気)を受けやすく、炎症、痒みなどを起こしやすくなっています。
第一段階 急性発作を抑える 痒みや炎症は中医学では湿熱(しつねつ)や血熱(けつねつ)と考え治療します。ジュクジュクしている皮膚は湿熱とみて、治療には竜胆(りゅうたん)瀉肝湯(しゃかんとう)や消風散(しょうふうさん)など清熱(せいねつ)利湿(りしつ)作用のある漢方薬を用います。カサカサして夜中に痒みが出る皮膚は血熱とみて、治療には生地黄(しょうじおう)・牡丹皮(ぼたんぴ)・山梔子(さんしし)・大黄(だいき)など清熱(せいねつ)涼血(りょうけつ)作用のある漢方を用います。 第二段階 慢性症状の改善 いくら炎症を抑えても、皮膚を丈夫にしていかなければ新たな炎症がまた生まれます。アトピー性皮膚炎の基本は皮膚の乾燥。皮膚表面の外壁が弱く、刺激や異物を受けやすい状態です。 皮膚のカサカサ、皮がむける、皮膚が厚くなるなどの症状は中医学では血虚(けつきょ)風燥(ふうそう)とみて、治療には当帰飲子(とうきいんし)や十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)など養血(ようけつ)作用のある漢方薬を用い皮膚に潤いを与え皮膚を丈夫にしていきます。 第一段階の治療で皮膚の赤み・痒みが落ち着いたとしても、症状を繰り返さないためには第二段階の治療をしっかり行っていく事がとても重要です。 |